私たちがサンゴ礁の保全及び再生活動を展開するチービシ環礁は、2003年代頃からオニヒトデが大量発生し、
数年にわたって食害の危機にさらされました。その個体は、大きなもので60cmにもおよびます。
現在は影を潜め、ひと段落したかに思えたチービシですが、代わりにレイシガイダマシが増えているのが現状です。
少しずつ回復の兆しを見せているとはいえ依然として予断を許さない状況が続いています。 |
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「シロレイシガイダマシ」という貝をご存知ですか?なぜだか、オニヒトデによる被害の後に
頻繁に確認され、サンゴを瀕死の状態にまで食べ荒らす巻貝です。 |
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ダイビングの普及は、一般の方々の関心をサンゴ礁保全に向けることに大きく作用しました。
同時に海洋生物に対する関心を高め、その結果、さまざまな科学的知見の集積が行われつつあるようです。
そのひとつとして、新たなサンゴの食害者「レイシガイダマシ類」による被害が、いま注目を集めています。
レイシガイダマシ類は、2〜4cm程の小さな巻貝で、 サンゴを食べるための特殊な歯舌を持っています。
その歯舌でポリプ(サンゴの一部)をむしるように摂餌、
ミドリイシサンゴやコモンサンゴを好んで食す習性が確認されています。
残念ながら異常発生の原因は未だ特定できておらず、その食害は止まることを知りません。 |
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写真左)駆除されたレイシガイダマシ
写真右)レイシガイダマシ駆除の様子 |
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誰もが知ってるサンゴの天敵 鬼海星(オニヒトデ)。サンゴの食害も、
食物連鎖の一環と考えれば仕方ないことですが、大量発生は問題です。 |
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サンゴの天敵として知られる「オニヒトデ」。
卵の時は約0.2mm程度の大きさですが、成長すると30cm前後になり最大では約60cmにもなります。
沖縄近海では、6〜7月にかけて雌雄のオニヒトデが約1000万個の卵を放卵、
受精卵は発生して幼生(プランクトン)となり数週間海の中を浮遊します。
浮遊期間を終えると石灰藻などに付着、直径が0.5mmほどになると稚ヒトデに変態します。
この時点ではサンゴにとり着いても食すとこはできず、逆にサンゴに取り込まれたります。
変態後の稚ヒトデは、一般のヒトデ類と同様5本の腕を持ちますが、
約10日に1本の割合で腕を増やしながら成長し、約半年で10〜20本の腕を持つ1cmほどのヒトデになります。
この頃からポリプ(サンゴの一部)を食べるようになり、トゲも伸び始めます。
その後、20cmほどまで成長するオニヒトデは、3年目を迎えると繁殖を繰り返し6〜8年ほどで寿命を迎えます。
一般的には、オニヒトデ=「すべてが悪い」というイメージが植えつけられていますが、
海の生態系を考えると、オニヒトデの存在そのものを否定することはできません。
通常では、サンゴと共存的な行動を示すことも報告されています。
私たちは、サンゴの保全を念頭に置き、生態系を考えながらオニヒトデの駆除を行っています。 |
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写真左)オニヒトデ駆除の様子
右)オニヒトデ |
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